人の救急電話相談(#7000)/救急車の適正利用に効果/半年で1万件超える相談/6割以上が当日受診不要/公明が一貫して推進/埼玉県
2015年08月06日 7面
埼玉県で昨年10月にスタートした「大人の救急電話相談(#7000)」事業が成果を挙げている。推進してきた公明党埼玉県議団(西山淳次団長)は先ごろ、県救急医療情報センターを訪れ、県の担当者から実施状況について話を聞くとともに、コールセンターを視察した。
同事業は、夜間に急な病気やけがをした際、「救急車を呼ぶべきか、すぐに病院に行くべきか」の判断や、家庭での適切な対処方法について、電話で相談できるもの。県民の緊急時の不安を解消するとともに、近年、増え続ける救急出動件数を抑制し、重症患者の迅速な搬送につなげることが狙いだ。
受付時間は午後6時30分から同10時30分まで(年中無休)。短縮番号#7000(ダイヤル回線やIP電話、PHSは048・824・4199)に電話すると音声案内があり、「1」を選ぶと大人の救急電話相談が利用できる(「2」は休日、夜間などに受診可能な医療機関を紹介する救急医療機関案内につながる)。
相談員は3〜5人体制で、救急医療に携わるベテラン看護師が対応する。判断が難しい事案については、看護師が自宅待機(オンコール)の医師に助言を求める。
この半年間(2014年10月1日〜15年3月31日)の相談件数は1万780件で、1日に平均すると約59件。内訳は「救急車対応要請」が695件(6%)、「1時間以内緊急受診」が3142件(29%)、「翌日受診」が4045件(38%)、「家庭で対応可能等」が2898件(27%)。全体の6割以上は、当日受診が必要のない事案であった。
県の担当者は「どこまでの人が救急車を使う予定だったのかは分からないが、最大でそれだけの人が、救急車を含めて当日の医療機関への受診をせずに済んだと推測できる」と指摘する。
一行は同センター内にあるコールセンターで、看護師が電話相談に応じる様子を見学し、相談内容や人員体制などについて話を聞いた。
視察後、西山団長は「県民に安心感を与える大切な事業であると、あらためて認識した。人員体制、相談時間を含めて、より一層充実するよう取り組んでいきたい」と述べた。
同事業については、公明党の蒲生徳明県議が2013年6月定例会で奈良県の取り組みを紹介した上で、「救急車の適正利用や医師の疲弊を軽減するためにも導入する意味は大きい」と提言し、上田清司知事が「実現のために速やかに対応していきたい」と答弁。導入後も、萩原一寿、安藤友貴の両県議が、相談時間の延長を訴えるなど一貫して推進してきた。