大雪で農業に深刻な打撃/「今後は白紙」と被災者/被害額は過去最大の229億円/党県議団が現地へ 支援充実に全力挙げる/埼玉県
2014年02月26日 7面
14日から15日にかけての大雪による農業被害が深刻な埼玉県は、21日時点の被害額が自然災害では過去最大となる229億円と発表した。キュウリやイチゴなどの作物被害が108億円、パイプハウスなど施設被害が121億円に上る。公明党埼玉県議団(西山淳次団長)は21日、支援の充実を議会で提案するため、毛呂山町で被害に遭ったイチゴ農家や養鶏場などを訪問し、被害状況や要望を聞いた。これには千葉三津子、荒木かおるの両町議が同行した。
がっくりした面持ちで「これから多くのお客さんが来るのに」と語るイチゴ農家。この観光イチゴ園では、連棟式になっている鉄パイプ式のビニールハウス3棟全てが倒壊。撤去費用もまだ、いくら掛かるか分からない状態だ。昨年は約8000人がイチゴ狩りに訪れたが、入っていた予約を全てキャンセルしたという。
新しくビニールハウスを建設するのに約3カ月かかるため、イチゴ農家は「9月に次の苗を定植させるが、広範囲で被害が出ているので、資材などが間に合うのか」と心配そうに語っていた。
鶏舎が倒壊した養鶏場では、約4万羽が下敷きになり、がれきの撤去と鶏の移動が行われていた。鶏は引き取り手がないため、処分するという。経営者は「鶏舎の屋根に雪がたまるような構造だが、こんなに降るとは。出荷値段が高くなり、いい時なのに。倒壊した分の今後は白紙」と肩を落としていた。
この後一行は、ビニールハウスの倒壊でトマトが全滅した農家を訪問。農家は「あと1週間ぐらいで出荷になったのに、とても残念だ。撤去費用に補助があると助かる」との声を寄せた。
西山団長らは、県の相談窓口を紹介しながら、県農業災害対策特別措置条例に基づく特別災害の指定を急ぐとした上で、「支援の充実を議会で訴えていくとともに、国にも働き掛けていく」と述べた。
調査に参加したのは西山団長をはじめ、福永信之、蒲生徳明、藤林富美雄、萩原一寿、権守幸男の各県議。
これに先立ち、党埼玉県議団は19日、県庁内で上田清司知事に対して、大雪被害に関する緊急要望を行った。その中で(1)県有地を含め、除雪後の雪を廃棄する場所の確保(2)被災した農家が負う農業施設などの債務の軽減を金融機関に要請すること(3)県の防災計画の雪害対策の強化――などを求めた。
これに対し、上田知事は「しっかり対応していく」と答えた。