東日本大震災/先行き見えず募る不安/西田氏と党県議団 双葉町(福島)からの避難者と懇談/高齢者の健康問題が深刻/食事の改善や職員不足も課題/埼玉・加須市
2012年02月14日 7面
東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所の事故で、集団避難を余儀なくされた福島県双葉町の住民――。埼玉県加須市の旧県立騎西高校での避難生活は11カ月になろうとしている。このほど、公明党埼玉県本部の西田実仁代表(参院議員)や党埼玉県議団(西山淳次団長)が、それぞれ同校を訪問し、双葉町の井戸川克隆町長や町民から話を聞き、今後の支援策を探った。
旧騎西高校で避難生活を送る双葉町民は578人(2月9日現在)。昨年3月末に集団避難してきた当初は約1200人だったが、若い世代を中心に、埼玉県内などの借り上げ住宅に移っていった。このため高齢者の割合が高くなっている。
この日、西田氏は先行きの見えない生活に不安を抱える町民約30人と懇談。「自分で作った温かいものが食べたい」「校内で調理した給食にすることはできないか」など、真っ先に出てきたのは食事の問題だった。
旧騎西高校では、朝昼夕の3食全てが弁当。おかずは揚げ物が中心になりがちで量も多いことから、高齢者には食べきれない人も多く、「残すのは悪い」と外食をする人もいる。校内に調理施設はあるが、保健所の認可が下りていないほか、施設の整備も不十分なため、給食に移行する見通しが立っていない。西田氏は「県と相談し、給食ができるよう働き掛けていく」と語った。
このほか、町民からは「(双葉町に戻れないならば)できるだけ多くの町民が1カ所に集まる形で、生活できるようにしてほしい」などの切実な声が寄せられた。
懇談の最後に西田氏は「町民の皆さまの負担を少しでも軽減するため、今後もしっかり支援していく」と決意を述べた。
一方、党県議団は、西田氏が訪れた前日に旧騎西高校を訪れ、井戸川町長らと意見交換を行った。党県議団は、昨年4月28日に訪問した際、同町長から入浴施設の拡充、早急な下水整備、洗濯機の増設などの要請を受け、同日中に上田清司知事へ要望書を提出。積極的に支援策を推進してきた。
懇談で同町長は、県の支援に「本当にありがたい」と感謝を述べた上で、政府に対して「もっと実態を知って、知恵を出してほしい。全く信頼できない」と強調した。
さらに、外に出る機会が少なくなったことや、仕事などもなく、生活に張り合いを持てない高齢者も見受けられることから、「心身両面での健康問題が深刻化している」と、長引く避難生活の影響を懸念。校内で勤務する町職員の減少も課題で、同町長は「加須市から職員を派遣していただいているが、まだ不足している」と訴えた。
これに対して西山団長は「しっかり県に伝えて、これからも全力で応援していく」と約した。